顎を開けたり、閉めたりすると音が鳴る、痛い。そんな症状は顎関節症かもしれません。中には「顎関節症かも、と思ったとき何科を受診したらいいの?」と不安になる方がいらっしゃるかもしれません。ここでは、疑うべき症状から受診、治療の流れまで顎関節症について説明いたします。
目次
こんな症状に注意!顎関節症とは
- 口が開きづらい(指3本がたてに入らない)
- 物を食べるとき顎が痛い
- 顎を開け閉めすると音がなって痛みがある
といった症状が当てはまったら、顎関節症が疑われます。
顎関節におこる病気は、「顎関節症」と診断されるものがもっとも多いのが現状ですが、実は他の病気が隠されている場合があります。
以下の症状があった場合、画像検査や血液検査などの精密検査を行います。検査結果から、顎関節に脱臼、骨折、腫瘍、炎症などを明らかに診断できない場合、「顎関節症」と診断されます。
関節の病気
顎が外れて口が閉まらなくなってしまう顎関節脱臼や、転んだりなどして顔を強くぶつけて顎の骨をおってしまう顎骨骨折があります。
炎症の病気
ごく稀にですが、腫瘍(できもの)やリウマチなどのひどい炎症が起こることもあります。
顎関節症患者の7割で関節円板のずれがある
顎関節は頭の骨と顎の骨を連結させている部分で、体のほかの関節と同様の構造をしています。骨と骨の間にはクッションのような働きをする関節円板があります。
関節円板は軟らかく弾力があり、骨と骨のあいだに存在することによって、顎の骨が頭の骨に連結されながらあけしめしたりする運動に役立っています。
顎関節症患者の7割はこの関節円板が何らかの原因によって、ただしい位置からずれてしまっていると言われています。関節円板のずれによって、顎をあけしめするときに音がなったり、クッションとしての働きが不足して痛みがでたりします。
関節円板のずれ以外の顎関節症
関節円板のずれ以外には、顎の筋肉が腫れて炎症を起こしている状態や顎関節への強い衝撃によって靭帯などが傷ついている状態があります。また、稀にですが、顎関節の筋肉や靭帯が萎縮したり、骨同士が癒着してしまう病変を伴うこともあります。
顎関節症になったら歯科or口腔外科を受診する!
顎関節症かも、と思ったらまずお近くの歯科医院か、もしくは口腔外科を持つ病院で受診しましょう。
口腔外科とは歯科の専門領域のひとつです。口腔外科はお口や顔まわりの外科的処置を専門としており、親知らずの抜歯、顔の骨の骨折、舌や歯肉にできた腫瘍の摘出など、扱う病気はさまざまです。
口腔外科は歯科の一種なので、ドクターは医師ではなく歯科医です。
なぜ、歯科や口腔外科を受診すべきなのかといいますと、顎関節は噛み合わせに大きく影響されるからです。
顎関節に加わる負担は歯の噛み合わせが大きく影響する
顎関節症でおこる関節円板のずれは、いろいろな原因が考えられています。
一つには顎関節に過度な力が加わってしまうことにより生じるといわれています。歯と歯を接触させると顎関節にも力が加わり、力が大きすぎると関節円板がずれてしまいます。
また、転んで顎を打ってしまった、顎を強くぶつけてしまったりしても、関節円板がずれてしまうことがあります。
顎関節症の治療方法1:マウスピース治療
顎関節症の治療目標は、顎関節の症状が日常生活に支障をきたさないように改善することです。つまり患者様が顎関節症による痛みや口の開けづらさからストレスを感じないようにすることを目指します。
まずは鎮痛剤で痛みをおさえながら、マウスピースをはめてもらう治療が一般的です。顎関節症ではプラスチック製のマウスピースを作製します。
マウスピースが歯と歯のあいだにあることによって強くかみしめさせないようにして、顎関節に力が加わらないようにます。マウスピースを作製するにはお口の型をとる必要があるため、市販品ではなく、歯科医院や口腔外科を受診することを強くお勧めします。
顎関節症の治療方法2:運動療法
関節円板のずれを正しい位置にもどすための顎の運動があります。顎の運動は以下のように行います。
- お口をもっとも大きく開けられるところまであける
- 大きく口を開けた状態で顎を前にだす
- 顎を前に出したまま口をゆっくりと閉じて、顎をもとの位置にもどす
この運動を1日20~30回行います。
顎関節症の治療方法3:生活習慣(クセ)の見直し
日常の生活習慣(クセ)のせいで、顎関節に過度な負荷をかけてしまっている場合があります。痛みがある期間は、まず頬杖やうつぶせ寝をやめましょう。
また、フランスパン、ビーフジャーキー、タコ、イカなどの硬い食品や大きな食品をとることも避けましょう。
あとは、管楽器の演奏、バイオリン演奏、格闘技、スキューバダイビング等も控えましょう。
また、筋肉のマッサージは自宅でも効果的です。直接あごに負担のかからない生活を心がけましょう。
顎関節症の治療方法4:口腔外科での治療
マウスピース治療や運動療法、生活習慣の見直しをしても治らない場合、口腔外科で関節の中を点滴注射で洗ったり、潤滑剤を注入する治療を行います。また、ごく稀にですが、顎の関節が線維で動かなくなった場合には全身麻酔での手術をすることもあります。
まずは歯科を受診→口腔外科へ紹介 という流れが基本
顎関節症が心配になったら、まず歯科医院で受診しましょう。症状が軽い場合は、痛み止めや生活習慣の見直しによって改善することも多いです。
なかなか治らない場合、心配なので画像検査などをしてほしい、と思った場合には歯科医院から口腔外科のある医院、病院を紹介してもらうことができます。
まとめ
顎関節症は、端的に言うと以下になります。
- 口が開かない、顎関節が痛い、顎の関節が鳴る、といった症状があったら顎関節症を疑う
- 顎関節症は過度な力で噛むことによって起こる場合が多い
- まずは歯科医院で相談し、必要があれば口腔外科を紹介してもらい受診する
ポイントとしては、顎関節症による痛みでストレスをかかえないように、早めに歯科医院で相談することが重要です。
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