歯を失った際には、入れ歯を作るのが最もスタンダードですよね。入れ歯には、部分入れ歯や総入れ歯など、様々な種類がありますが、入れ歯という補綴装置自体を知らない人はまずいないのではないでしょうか。そんな誰もが知っている入れ歯ですが、いつから歯科治療に用いられるようになったかご存知ですか?
目次
入れ歯の原型は紀元前に存在していた!?
今現在、歯科治療で使われている入れ歯は、試行錯誤を繰り返して洗練された形になっていますが、実はその原型はもうすでに、紀元前に存在していたのです。もしかしたら「入れ歯」と呼ぶには語弊があるかもしれませんが、紀元前のエジプトには、歯と歯を針金でつなぎ合わせた装置が存在していたことが遺跡から判明しています。
つまり、何らかの理由で失った歯を、手作りの装置で補おうという試みが紀元前にはなされていたことを意味しているのです。
日本でも室町時代には入れ歯に似た装置が使われていた
日本の場合、16世紀の室町時代には、木製の入れ歯が存在していたことが明らかになっています。こちらも「入れ歯」と呼ぶことが正しいかどうかは別として、現代の入れ歯の形態にはかなり近かったと言われています。実際、この木製の装置を装着した状態で、食事を行われていたようです。木を削って入れ歯を作るという点が、いかにも日本人らしいですね。手先が器用だからこそできる職人技といえます。
18世紀には総入れ歯が開発されていた
近代歯科医学の祖として有名なフォシャールは、18世紀のフランスで世界初ともいえる総入れ歯を製作しています。総入れ歯は上下の歯を全て失った状態に適応されるものですので、患者さんからしたらこれほどありがたい装置はないといえます。ただ、それほど実用的なものではなかったらしく、食事の際に使用することも困難だったといえます。
19世紀になると弾性ゴムが開発され今の入れ歯に近い形となった
入れ歯というと、やはり口腔粘膜と接する義歯床の部分が重要となってきますよね。入れ歯の不具合は、この義歯床を調節することで改善することも多いので、そこにどんな素材を使うかは非常に重要なポイントとなります。19世紀に弾性ゴムが開発されたことによって、入れ歯の適合性は格段に向上しました。
今現在、入れ歯に使われているアクリルやレジンといった材料の原型みたいなものですね。その後、改良に改良が重ねられ、皆さんが知っている入れ歯へと発展していったといえます。
今もまだ入れ歯は改良され続けている
現代の入れ歯は、非常に使い勝手がよく、口腔内の適合性も良好ですが、これが完成形ではありません。
例えば、最近普及し始めているノンクラスプデンチャーというのは、入れ歯の中に金属のパーツが使われていません。
クラスプは、歯にひっかける金属製のフックの部分で、一般的な部分入れ歯には必ずといって良いほど設置されています。その部分を歯科用のプラスチックで補うことで、より適合性が高く、違和感の少ない入れ歯を製作することができます。
また、入れ歯とは少し異なるかもしれませんが、インプラントという素晴らしい技術も開発されました。これは顎の骨に直接、金属製のネジを埋め込むことで、差し歯や入れ歯の土台とする技術です。インプラントは顎骨に埋入することで、非常に頑丈な土台となり得るため、通常の入れ歯よりも様々な面で優れているといえます。
インプラントを応用すれば、全ての歯を失った症例でも、オーバーデンチャーという形で総入れ歯を装着することも可能です。
まとめ
このように、入れ歯の歴史というのは紀元前から始まり、今に至っています。始めはただ歯を針金でつなぎ合わせたような原始的なものでしたが、今は、複雑な咀嚼運動にも対応できる精密な補綴装置へと発展しています。そして今もなお、その技術は進歩し続けていますので、これからもまた入れ歯の歴史は塗り替えられていくことでしょう。
いずれにせよ、入れ歯が発展する原動力は、失った歯を何とかして補いたい、また噛めるようにしたい、という原始的な動機からきていますので、これからもどんどん入れ歯の技術は使いやすく進歩していくことでしょう。
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