フッ素入り歯磨き粉の「フッ素」って何?虫歯だけでなく黄ばみの予防効果もある!

フッ素入り歯磨き粉の「フッ素」って何?虫歯だけでなく黄ばみの予防効果もある!

皆さんが毎日お使いの歯磨き粉には、おそらく「フッ素」が入っているのではないでしょうか。フッ素は、虫歯予防に効果があることで有名ですが、実は、黄ばみなどの着色汚れを防止する効果も期待できるのです。今回は、フッ素による虫歯や着色予防の効果について詳しく解説します。

 

 

フッ素について

 

虫歯予防に効果があるとして歯磨き粉などに入っているフッ素ですが、どのようなメカニズムで虫歯を予防するのかを解説します。

 

そもそもフッ素とは?

フッ素は、自然界に存在する物質で、私たちが普段口にしている食品にも含まれていることがよくあります。元素としてはあまり有名ではないので、食品に含まれていると聞いて驚かれた方も少なくないでしょう。現状は、口腔ケア用品に利用されるケースがたいへん多くなっています。

 

フッ素が虫歯予防になる理由

フッ素が虫歯予防になる理由としては、主に次の2つが挙げられます。

 

1 歯の再石灰化作用の促進

私たちの歯は、酸性の刺激によって溶かされる脱灰(だっかい)という現象が飲食のたびに起こっています。そして、脱灰が急速に進行すると虫歯になってしまいます。フッ素には、脱灰した歯を元に戻す再石灰化(さいせっかいか)作用を促進する働きがあります。

 

再石灰化現象自体は、唾液に含まれる成分によって起こるのですが、フッ素はその手助けをしてくれるのです。つまり、フッ素の歯の再石灰化作用の促進によって虫歯の予防、あるいはその進行を抑えることができるというわけです。

 

2 フルオロアパタイトの形成(=歯質の強化)

歯が再石灰化するときにフッ素が近くにあると、フッ素は歯の中に取り込まれます。そうすると歯は、「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる構造から、「フルオロアパタイト」と呼ばれる構造につくり変えられ歯の質が強化されます。

 

さらに、フルオロアパタイトは、ハイドロキシアパタイトよりも酸性刺激に対する抵抗力が高いので、脱灰の進行が遅くなり虫歯予防にもなるのです。

 

フッ素を使った製品や施術

 

フッ素を口腔ケアで活用する方法はひとつではありません。フッ素入り歯磨き粉、フッ化物入り洗口液などの製品やフッ素塗布といった施術など、さまざまなものがあります。

 

フッ素入り歯磨き粉

フッ素入り歯磨き粉は、フッ素が配合された製品としてはもっとも身近なものでしょう。

 

日本では、歯磨き粉に配合できるフッ素の濃度は1,500ppmまでと決められています。ですから、フッ素による虫歯予防効果を少しでも高めたいという方は、1,500ppmに近い濃度のフッ素が配合された歯磨き粉を選ぶようにしましょう。ちなみに現実的には1,450ppmまでの製品がほとんどです。また、値段は100円~3,000円くらいと、安いものから高いものまでさまざまです。

 

フッ化物入りの洗口液

うがい薬であるフッ化物入りの洗口液は、虫歯予防に効果があります。お口の中に決められた量を含んで、クチュクチュとうがいをしながら口腔全体へと薬剤を行き渡らせます。30秒ほどうがいをすれば、すべての歯にフッ素が浸透するでしょう。

 

ノンアルコールタイプやミントなどのフレーバーが付与された製品も販売されており、非常に使いやすい製品です。

 

歯科医院のフッ素塗布

歯科医院でもフッ素を虫歯予防に活用しています。いわゆる「フッ素塗布」は、歯科医院でなければ受けられない処置で、虫歯予防に関するプロフェッショナルケアのひとつです。

 

フッ化物が配合されたジェルを歯の表面に塗るだけなので、不快な思いをすることもなく、小さなお子様でも安心して施術を受けられます。フッ素塗布は、健康な歯に行う場合が多く、予防になるのでたいていは自費診療(保険適用外)となります。その費用は年齢や歯科医院によって違いがありますが約500円~3,000円が相場です。

 

歯科医院のフッ素塗布で用いるジェルには、9,000ppm程度のフッ化物が配合されています。市販の歯磨き粉に含まれているフッ化物濃度と比較すると約6倍で、その分だけ予防効果も高いと言えます。ただし、フッ化物が配合されたジェルを安全に扱えるのは歯科医師や歯科衛生士といった専門家だけであり、海外などから個人輸入したものを自己流に使うことはおすすめできません。

 

フッ素は安全?

確かにフッ素は、一度にたくさんの量を摂取すると、急性中毒を起こすことがあります。少量でも毎日飲み続ければ、慢性中毒になることもあり得ます。ただし、これらはあくまでフッ素を身体の中に取り込んだ場合に起こるリスクです。

 

フッ素入り歯磨き粉もフッ化物入りの洗口液、フッ化物が配合されたジェルも、歯の表面において使うだけなので、身体の中に多量のフッ素が取り込まれることはありません。その意味で、口腔ケアに用いられるフッ素は、安全性が高いと言えます。

 

フッ素が歯の黄ばみを予防する!

 

ここまで、フッ素による虫歯予防の効果に焦点を当てて解説してきましたが、歯の黄ばみや黒ずみといった着色汚れに対する効果も気になるところです。

 

歯の傷の修復が黄ばみ予防に

◎歯の傷が黄ばみの原因になっている

歯の黄ばみの原因は多岐にわたりますが、非常に多いのが歯垢や歯石に色素が沈着して黄ばみになるパターンです。実は、そうした黄ばみは、目には見えない歯の傷や亀裂を起点として発生しやすいことをご存知でしょうか?

 

食事の際に使用する白いお皿もそうですが、表面に傷が付くほど、汚れがとれにくくなります。新品で表面が滑沢であれば、汚れは簡単に落とせるもの。それと同じ原理で、歯の汚れの付きやすさ(=黄ばみ)には歯の表面の傷が大きく関係しています。

 

◎フッ素で歯の傷を修復して黄ばみ予防を

ご説明したように、フッ素は脱灰した歯、つまり傷ついたを元に戻す再石灰化作用を促進する働きがあるため、自分で行うセルフケアや歯科医院で行うプロフェッショナルケアでフッ素が配合されたものを用いることで表面の凹凸が滑らかになっていきます。

 

それは、肉眼では確認できるものではなく、光学顕微鏡レベルで確認できる現象なので、「歯の傷が治った」「歯面が滑沢になった」と実感するのはなかなか難しいでしょう。ただ、粗造になっていた歯面が滑らかになることで汚れが付着しにくくなることは確かなので、結果として歯の黄ばみや黒ずみの予防につながると言えます。

 

歯面をコーティングして着色を防ぐ

フッ素入りの歯磨き粉や洗口液、ジェルなどを使用したあとは、歯の表面に光沢が認められます。これはフッ化物によって歯面がコーティングされたからです。コーティングには汚れや着色を防ぐ効果が期待できます。

 

コーティングは一定時間しか続きませんが、たとえば、毎回の歯磨きでフッ素入り歯磨き粉を使用していれば、コーティングによる汚れや着色を防ぐ効果を長く維持できるでしょう。

 

まとめ

 

このように、フッ素入り歯磨き粉などに含まれるフッ素には、歯の再石灰化作用の促進と歯の構造の変化によって虫歯を予防、あるいはその進行を抑える効果が期待できます。フッ素が含まれた製品や薬剤を用いたセルフケアやプロフェッショナルケアをしていれば絶対に虫歯にならないというわけではありませんが、そのリスクは大きく減らせます。

 

また、歯の黄ばみや黒ずみといった着色汚れの予防にもなりますので、お口の健康や美しさを安全に維持したいという方は、フッ素が配合されたケア用品を積極的に使うとよいでしょう。

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