小児歯科
子どもはむし歯になりやすい
子どもは、大人よりもむし歯になりやすいです。それは子どもの歯である乳歯が未成熟だからです。石灰化(せっかいか)と呼ばれる、歯が硬くなる現象が大人の歯よりも進んでおらず、酸による刺激で溶けやすくなっています。また、子どもの歯は大人の歯の半分の厚みしかないため、あっという間に穴が大きくなって、神経まで侵されてしまいます。その結果、歯痛に悩まされたり、歯を失うリスクが大きくなったりすることが多くなります。周りの歯に感染が広がるリスクも永久歯より高いです。
【子どもの歯の特徴】
・歯がやわらかい
・歯の厚みが永久歯の半分
・虫歯の進行が速く、歯の神経の症状が出やすい
・周りの歯にむし歯が広がりやすい
子どものむし歯を放置してはいけない理由
乳歯はやがて永久歯へと生え変わります。混合歯列期(6~12歳くらい)を経て、すべてが永久歯へと交換されることから、むし歯になっても問題ないだろうと放置してしまうこともあるでしょう。それはとても危険なことなので絶対に避けるようにしてください。乳歯のむし歯を放置すると、次に挙げるようなリスクが生じます。
むし歯だらけになる
乳歯のむし歯は感染が広がりやすいです。複数本のむし歯が重症化すると、噛み合わせが不安定となり、食べ物を噛む機能が低下します。細菌が顎の骨や全身にまで広がる危険性も出てきます。
永久歯の発育が邪魔される
乳歯のむし歯、すぐ下に控えている永久歯の発育を邪魔することがあります。エナメル質の形成不全を引き起こすことで、歯の頭の部分である歯冠がボロボロの状態で生えてきます。
永久歯が生えてこなくなる
むし歯の重症化で乳歯を早期に抜歯すると、下に控えている永久歯が生えてこなくなることがあります。これは乳歯からの「生えてこい」というサインを得られなくなるからです。
永久歯の生えてくる位置が変わる
永久歯は、病気になった乳歯を避けるようにして生えてくることがあります。その結果、永久歯の歯並びが悪くなります。
子どものむし歯を予防する方法【自宅】
子どものむし歯は、予防するに越したことはありません。次の方法を実践して、むし歯菌に負けない強い歯、清潔な口内環境を作りあげましょう。
食事のリズムとブラッシングのタイミングが重要
お子様の歯のトラブルを回避する上で、非常に重要となるのが食事のリズムとブラッシングのタイミングです。特に、食事の中でも間食に関しては、十分な配慮が必要となります。例えば、間食の回数が不必要に多かったり、眠る前にちょっとしたお菓子を食べたりすると、虫歯の発生リスクが高まります。
また、ブラッシングのタイミングについて、できるだけ毎食後に行うことが望ましいです。上述したように、お子様の歯は虫歯になりやすい傾向にあるため、糖質を摂取した後などにブラッシングせず長時間過ごすと、歯質の脱灰が確実に進んでいくのです。
間食の内容に関しては、できるだけ糖質の少ないものを選ぶようにしましょう。甘いものを食べるにしても、代用糖などが使用されたお菓子を選ぶと、虫歯の発生リスクを低減させることができます。
年齢別のポイント
1歳 | 歯ブラシを持たせて慣れさせましょう。 |
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2歳 | 自分で磨こうとします。一緒に磨いて真似をさせると歯磨きが習慣になります。 |
3歳〜5歳 | 乳歯が生えそろう時期。自分で磨くようにしますが、磨きは不十分です。必ずチェック磨きをして、磨き残しがないようにします。 |
6歳以上 | 永久歯が生えます。子どもの「自分で磨く」気持ちを大切にしましょう。仕上げのチェック磨きは最初の永久歯(六歳臼歯)を中心にしてください。 |
仕上げのチェック磨きを忘れずに
子どもがきちんと歯磨きができるようになるのは、かなり大きくなってからです。それまでは、お母さんが必ずチェック磨きをしてあげてください。歯と歯のすき間、歯の裏側、奥歯の磨きにくいところなどは、特にていねいに磨いてあげましょう。毎日のチェック磨き(仕上げ磨き)がお子様の歯を守ります。
キシリトール
キシリトールは天然の甘味料です
主な原産地はテレビCMでもお馴染みのフィンランド等の北欧で、私たちの身近なところではイチゴなどにも含まれていますし、私たち自身も自分達の肝臓で一日に15グラム程度のキシリトールを作っています。キシリトールはWHO(世界保健機構)から安全性が認められている安全な甘味料です。砂糖と同程度の甘味を持っていながら、カロリーは40%も低いのです。
食後にキシリトールを摂取する方法
長期間、継続的にガムやタブレットで食後にキシリトールを摂取することを習慣化して、継続的に行うのが最大のポイントです。フィンランドでは国の政策として、学校での食後にキシリトール入りのガムやタブレットが配布され、徹底したむし歯予防を行っています。食後にキシリトールを摂取する習慣があるフィンランドでは、15年間に実に約80%ものむし歯を減らすことに成功しましたそうです。この効果を試さない手はありませんね。
子どものむし歯を予防する方法【歯科医院】
歯科医院では、次の方法で子どものむし歯を予防します。
歯のクリーニング
歯ブラシによるブラッシングでは取り除けない「バイオフィルム」や「歯石」などを一掃します。
ブラッシング指導
お子様のひとり磨きと親御様による仕上げ磨きの方法を歯科衛生士がレクチャーいたします。子どもの頃に正しいブラッシング法を身に付けることで、大人になったからもむし歯とは無縁の生活を送れるようになります。
フッ素塗布
フッ化物が配合されたジェル(9,000ppm)で、子どもの歯を硬くします。市販の歯磨き粉(1,500ppm)よりもフッ化物濃度が高く、歯を強くする効果も高くなっています。
シーラント
子どもの奥歯の複雑な溝をレジン(プラスチック)で平らにする処置です。食べかすや歯垢がたまりにくくなるため、むし歯リスクが大きく減少します。