歯磨きの仕方は、誰もが小さいころに覚えて、いつの間にかできたような気持ちになっているものです。ただ、その磨き方が本当に正しい方法なのかについては、あらためて確認する必要があるでしょう。
100%正しく歯磨きをしている方は、実は、ごく一部に限られます。なぜなら、歯を正しい方法で磨くことは、とても手間がかかり、コツも必要になるからです。今回は、自分の歯の磨き方を評価する方法や歯ブラシの選び方、歯の磨き方の種類などについて解説していきます。
目次
自分の歯の磨き方を評価する方法
自分の歯磨きが正しいかどうかを評価・確認するには、歯科医院を受診することがベストです。
定期健診などで歯科医院を受診すると、ブラッシング状態を確認するために、歯の染め出し試験が行われることがよくありますが、その試験を行ってもらえます。
歯の染め出し試験では、赤い染料を患者の歯列全体に塗布した後に患者がうがいをします。使用される赤い染料は、歯の表面に付着した歯垢を染め出す作用があるため、うがいをしたあとに赤い部分がたくさん残っているほど、歯の磨き方に問題があるといえます。赤くなるのは、磨き残しによって歯垢が堆積してしまっていることの現れなのです。
歯並びは人それぞれで大きく異なりますので、磨き残しが多くなる部分もそれぞれで異なってきます。この染め出し試験ならば、自分の歯並びの場合、どこの部分に磨き残しが多いのかの確認ができるでしょう。
適切な歯ブラシの選び方は?
歯ブラシにはさまざまな種類がありますが、次に挙げるポイントに着目して選んでみてください。
毛の硬さは「ふつう」が基本
通常、歯ブラシには、「やわからめ」「ふつう「かため」の3種類の毛の硬さのバリエーションがあります。歯や歯茎に異常がなく、歯が極端に汚れやすいわけではないのであれば、「ふつう」を選ぶことをおすすめします。
歯茎に炎症反応や出血が見られる方は、「やわらかめ」の歯ブラシを選んでもよいでしょう。
毛先の形状はラウンドが定番
歯ブラシの毛先の形は、先端が丸くなっているタイプの「ラウンド」、先端が細くなっている「テーパード」、毛先が水平になっている「シリンダー」の3つに大きく分けられます。一般的には、ラウンドであれば、歯面の汚れを効率よく落とせます。
ヘッドはコンパクトがおすすめ
歯ブラシのヘッドは、「コンパクト」と「ふつう」の2つに大きく分けられますが、基本的には小回りの利くコンパクトがおすすめです。
ヘッドが小さければ、歯並びが入り組んだ部分も磨きやすく、奥歯のような入りにくい部分にも届いて丁寧に汚れを落とせます。
正しい歯ブラシの持ち方は?
歯ブラシは、鉛筆やボールペンなどを持つような持ち方である「ペングリップ」と呼ばれる方法で持つとよいでしょう。ペングリップだと過剰な力がかからないので、歯を傷付けにくく、繊細な動きも可能です。
歯の磨き方の種類とは?
代表的な歯の磨き方には4つの種類があります。それぞれの特徴を解説します。
スクラッピング法
スクラッピング法は、歯ブラシの毛先を歯面に対し直角に当ててブラッシングをする方法です。この方法であれば、少なくとも平らな歯の表面には、磨き残しがなくなります。
スクラッピング法は、基本となるブラッシング方法で、歯科医院の診療でも推奨されることが多い方法です。
ローリング法
ローリング法は、歯ブラシを“回転”させて歯を磨く方法です。歯の根元に毛先を当て、そこから歯の先端に向かって歯ブラシを回転させます。スナップを効かせ、回転による遠心力で汚れを取り除きます。
フォーンズ法
フォーンズ法も歯ブラシを回転させますが、ローリング法とは方向が違います。フォーンズ法の場合は、毛先を歯面に対して90度に当て、弧を描くようにブラッシングします。
スナップを効かせないのでブラッシングの範囲は1歯にとどまらず、2~3歯に及びます。
バス法
バス法は、歯と歯茎の境目に対して、毛先を45度の方向から挿入するブラッシング法です。スクラッピング法と同じように歯ブラシを動かします。
歯磨きで注意すべきポイント
歯の汚れを効率よくしっかり落とすには、歯ブラシの使い方以外にも注意すべきポイントがあります。
磨く順番を決めておく
歯ブラシを正しい方法で使えるようになっても、磨いていない歯があったなら、そもそも汚れのない状態を維持できません。そこで、おすすめしたいのが歯を磨く順番をあらかじめ決めておくことです。
磨く順番は自分が覚えやすい方法でかまいません。比較的わかりやすいのは、左上から右上まで磨いて、そのまま下に降りて右下から左下の順番に磨いていく方法です。磨く順番を決めておくと、磨き残しが少なくなります。
ブラッシングは短くても3~5分
解説してきた方法で歯磨きをすると、1歯当たり20秒程度のブラッシングが必要となります。大人が歯列全体を磨くとなると5分程度かかります。これは、ひとつの目安でしかありませんが、少なくとも1~2分で歯磨きを終えるようなやり方はおすすめできません。
ブラッシングには、短くても3~5分はかけるようにしましょう。
1日に1回は丁寧なブラッシングを
磨き残しがあると、歯垢がたまり、それが歯石となって細菌の住みやすい環境がつくられていきます。
そうした負の連鎖を断つためにも、1日1回は磨き残しのない丁寧なブラッシングを心がけてください。
便利な清掃器具を活用する
歯と歯の間は、磨き残しが多い部位のひとつです。染め出し試験をした際に、歯間部が赤く染まっていた経験がある人はたくさんいらっしゃるでしょう。この部位は、通常の歯ブラシだけではきれいに汚れを落とすことは困難です。
そこで活用したいのが、デンタルフロスや歯間ブラシです。これらを上手く使えば、歯と歯の間の汚れをきれいに落とせます。
また、八重歯や叢生など、歯並びが悪くなっている部分も、通常の歯ブラシでは対応できないことがほとんどなので、ヘッドが小さいワンタフトブラシの活用をおすすめします。
適切な歯磨きの回数は?
1日に1回は丁寧なブラッシングが必要なことは説明しましたが、1日に何回の歯磨きが理想なのでしょうか。
理想は毎食後
歯磨きは、毎食後行うのが理想です。朝・昼・晩の食事のあとだけでなく、ちょっとした間食など、何かしら口に含んだあとには歯磨きをするようにしましょう。
朝と夜の2回は必須
昼間は学校や職場にいる場合には、3度の食事のたびに歯磨きをするのは難しいかもしれません。そうしたケースでは、少なくとも朝と夜の2回は必ず歯磨きをするようにしてください。
まとめ
このように、「歯磨き」と一言で言っても、正しいブラッシングを実践するためには、意識すべきポイントがたくさんあります。また、適切なブラッシング法を身に付けるだけでなく、自分の歯並びを把握した上で、適切な清掃器具を活用していくことも必要です。
ぜひ、この記事を読んで、自分の歯の磨き方が間違っていないかどうかを確認し、間違いが見つかったなら、正しい方法で歯磨きをしてみてください。驚くほど汚れが取れ、磨き残しも減ることでしょう。
正しい歯の磨き方を実践するには、歯科医院に行って歯科医師や歯科衛生士からブラッシング指導を受けることが早道だといえます。
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