歯の黄ばみは、不潔や不健康といったネガティブなイメージを持たれがちです。そんな歯の黄ばみの原因や、改善する方法としてはクリーニングとホワイトニングのどちらが有効なのか、わかりやすく解説します。
口元の審美性は、歯の色に大きく左右されます。歯が白くて光沢を帯びていると、それだけで健康的であり、清潔感があります。逆に、歯が黄ばんでいると、不健康や不潔といったマイナスなイメージを持たれてしまうものです。
それだけに歯の黄ばみはできるだけ改善・予防したいですよね。ここではそんな歯の黄ばみの原因や、改善方法について解説します。
歯の黄ばみの原因
歯の黄ばみの原因はさまざまですが、外的原因と内的原因の2つに大きく分けることができます。
外的原因
外的原因とは、歯の外側に存在している黄ばみの原因です。一般的には“汚れ”と呼ばれるもので、生活習慣とかかわりの深いものが多く、主に次のようなものが挙げられます。
- 歯垢(歯の表面に付着している細菌のかたまり)
- 歯石(歯垢が取り除かれないまま長期間堆積し石灰化したもの)
- ステイン(=色素沈着)
- 加齢
これらは歯の外側に付着あるいは沈着する汚れで、黄ばみは誰にでも認められます。歯垢に関しては食事から数時間で形成されるため、すべての人が歯の黄ばみのリスクを負っていると言えるでしょう。
歯石は、歯垢が石灰化作用を受けたもので、数日から数週間かけて形成されます。エナメル質への色素沈着は、さらに長い期間をかけて進行していくものです。こうした歯の汚れによる黄ばみは、食習慣や喫煙習慣に由来しているケースがほとんどです。
ステインと加齢による黄ばみは要注意
色素沈着による黄ばみは、歯の表面にとどまっている場合と、歯質内部にまで浸透している場合とがあり、後者は比較的改善が難しいと言えます。加齢による黄ばみも、色素沈着に由来するケースがあります。また、エナメル質が経年的に摩耗して象牙質が透けて見えるようになる場合も、加齢による歯の変色に分類されます。
内的原因
内的原因とは、歯の内側に存在している黄ばみの原因で、次に挙げるようなものが考えられます。
- 歯の内部に沈着した汚れによる黄ばみ
- 歯髄の失活
- 薬剤による影響
- エナメル質の形成不全
●歯の内部に沈着した汚れによる黄ばみ
エナメル質の内部に着色成分が存在して歯が黄ばんで見える
●歯髄の失活
虫歯の重症化や外傷などによって歯の神経が死ぬことを「歯髄の失活」と言います。歯の神経が死ぬと、時間をかけて歯がゆっくりと変色していきます。この場合の変色は、黄色ではなく黒色なので、いわゆる“歯の黄ばみ”とは少し様相が異なります。歯全体が一様に黒ずんでいくのが特徴です。
●薬剤による影響
薬剤による歯の変色で有名なのは「テトラサイクリン歯」です。エナメル質の形成期にテトラサイクリンという抗生物質を飲むことで、複数の歯に縞模様の変色が現れます。紫外線に当たると色がだんだんと濃くなっていき、口元の審美性も大きく低下していきます。
●エナメル質の形成不全
エナメル質の形成不全は、歯のいちばん外側を構成しているエナメル質が正常に発育しない異常です。乳歯の虫歯を放置して重症化させることで発症しやすくなります。歯の色が黄ばんだり、黒ずんだりするだけでなく、歯冠(歯の外に出ている部分)の形態にまで異常が認められます。
クリーニングで改善できる歯の黄ばみ
歯科医院のクリーニングとは
歯科医院のクリーニングは、歯の表面に付着・形成した汚れを落とすための処置です。電動のブラシと研磨剤を使って1歯1歯ていねいに磨いていきます。自費診療ではその他にもさまざまな器材や薬剤を使って歯の汚れを徹底的に除去します。
こんな症状にはクリーニングがおすすめ
歯科医院のクリーニングで効果が認められるのは「外的原因」による歯の黄ばみや黒ずみです。クリーニングはあくまで歯のお掃除なので、歯面に付着した歯垢、歯石、ステインが認められる人におすすめの処置法と言えます。ただし、歯の内部にまで沈着した色素や加齢による歯の黄ばみは、クリーニングでは改善しにくいです。
ホワイトニングで改善できる歯の黄ばみ
ホワイトニングとは
ホワイトニングとは、文字通り歯を白くするための歯科処置で、現状、いろいろな方法が存在しています。もっともポピュラーなのが歯科医院で受ける歯のホワイトニングです。過酸化水素や過酸化尿素といった漂白作用のある薬剤を使って、歯の内部に沈着した汚れを化学的に分解・除去します。
こんな症状には歯科医院のホワイトニングがおすすめ
歯科医院のホワイトニングがおすすめなのは、歯質内部に色素が沈着している場合です。歯ブラシによるブラッシングや歯科医院でのクリーニングでは落とすことができない汚れで、漂白効果の期待できるホワイトニングだからこそ対応が可能と言えます。
ただし、歯科医院のホワイトニングはある意味で「漂白処置に特化している」ため、歯の表面に汚れがあると、その効果が半減してしまいます。また、費用が高い、通院しなければならない、知覚過敏のリスクがあるといったデメリットをともないます。
ちなみに、歯髄の失活や薬剤による影響、エナメル質の形成不全が原因の歯の変色はホワイトニングでも改善は難しいです。
歯の黄ばみを手軽に改善したい方へ
説明してきたように、歯科医院のホワイトニングは、歯質内部に沈着した汚れを化学的に除去することができますが、いくつかの制約やリスクをともないます。費用も1回当たり数万円かかるのが全国的な相場であり、気軽に受けるのはなかなか難しいでしょう。そこで、もうひとつの選択肢として挙げられるのが「セルフホワイトニング」です。
セルフホワイトニングとは
セルフホワイトニングとは、歯科医師や歯科衛生士ではなく、自分自身で施術するホワイトニング法です。セルフホワイトニングは、ホワイトニングサロンで行うのが一般的ですが、自宅で行うことができる商品も出ています。
多くのサロンでのセルフホワイトニングでは、汚れを落とす程度の効果しか見込めませんが、HAKARAセルフホワイトニングのように亜塩素酸ナトリウムを主成分とするホワイトニング剤を使って、歯科医院で行われるホワイトニングと同じメカニズムで、歯質内部の汚れを落として黄ばみを白くすることもできるサロンも登場しています。
こんな人にはセルフホワイトニングがおすすめ
◎痛い思い・不自由な思いをしたくない人
セルフホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化といった漂白剤は使用しません。亜塩素酸ナトリウムや酸化チタンなどが主成分となっている薬剤を使用することから、知覚過敏のリスクは皆無に等しいでしょう。
施術直後から好きなものを好きなだけ食べられるのも大きなメリットと言えます。ホワイトニングで痛い思いや不自由な思いをしたくないという方には、歯科医院のホワイトニングではなく、サロンや自宅で行えるセルフホワイトニングのほうがおすすめです。
◎簡単にセルフケアをしたい人
歯科医院のホワイトニングは、少なくとも1時間以上の診療時間を必要とします。一方、セルフホワイトニングは1回の施術の所要時間は30分程度。しかも、通院せず自宅で行えるタイプもあることから、ホワイトニングにあまり時間をかけたくないという人にはおすすめの施術法です。
まとめ
このように、歯の黄ばみの改善に有効な方法は、歯の汚れの種類や質によって変わります。ですから、まずはご自身の歯の黄ばみが何に由来しているのかを突き止めることが大切です。そのうえで、歯科医院のクリーニング、歯科医院のホワイトニング、サロンでのホワイトニングなどから最適な方法を選びましょう。